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25 2月 2012 『烏丸響子の事件簿』について
 |  Category: 仕事

■『烏丸響子の事件簿』最終回

今月末発売号の月刊コミックバーズにて、長年連載していた作品
『烏丸響子の事件簿』が完結になります。
特にヒットした訳でもありませんが、細かく重版を重ね息の長い作品でもありました。
この漫画がどうやって今に至ったのか思い出しながら書き連ねてみます。

思えば23、4歳の頃、漫画家の古屋兎丸先生の作品のお手伝いをさせて頂いた折に
(確か、兎丸先生の『自殺サークル』という作品で女子高生の死体を大量に描いてた時だったかな…)
当時の幻冬舎の女性編集さんをご紹介頂いたのが始まりです。

まだネットもアナログ回線かADSL回線かという時代で、
どうやってHPのページの容量を抑えるかみたいな事ばかり考えてた気がします。
そんな何の実績も無くアシスタント業をしながらPCで絵を描いたりHPを作ったりと
日々を過ごしていた頃、編集部から急に広井王子さん原作で、怪物が出てくる刑事物を描かないか、というお話を頂き、
女性向けミステリー誌の『ビーストリート』という隔月誌でひっそりと連載を開始させて頂きました。
それが『烏丸響子の事件簿』という漫画です。

最初に来た原作のタイトルは『御台所(おだいどころ)響子の事件簿』というタイトルだったかなぁ
しかも当初の響子の年齢設定は28歳。「ちょっと高すぎませんかね…」と広井さんに提案したら
「じゃあ16歳」と。そのふり幅のでかさに「えっ」と躊躇した物の、そのままスタートした記憶があります。
最終的に最終巻での響子の年齢は多分18か19だと思います。

原作者の広井さんと言えば、僕が小学校の頃よりご活躍されている方で、
有名な作品ですと『天外魔境』、『魔神英雄伝ワタル』、『サクラ大戦』などのヒット作、
ちょっと珍しい所ですと80年代に流行った、音に合わせて踊る『フラワーロック』や
オマケ付きお菓子の『ネクロスの要塞』なんかも広井さんの作品だったりします。
僕なんかは思いっきり広井さんの作ったコンテンツで育った世代ですので、
そういった意味でも毎月の打ち合わせでは色んな話を聞けたり非常に有意義な物でした。
金髪のサングラスでイケイケ、という僕の小学校の頃のファミ通記事で見た記憶とは裏腹に、
実際の広井さんはとても若い感性を持った下町の良いおとうちゃん、という感じです。
でも持っているバイタリティ、度胸、知識、発案力は流石の一言で、
間違いなく広井さんは東京は下町が産んだ化け物の一人ではないかなと思います。

1年目、担当が最初の女性編集さんから当初編集部のバイトであったK氏が担当に。
そして連載2年目から、掲載誌がコミックバーズに移りました。
連載開始当初から、女性向けミステリー誌では嫌だと我侭を思っていた僕は
アクション要素を強調して、移籍を狙っていた節もあります。
そういう意味で青年誌のバーズへの移籍は「しめしめ」でした。

その9年前バイトから入ったKさんは 現在では副編集長にまでのし上がり(?)ました。
そんな担当のKさん、毎月欠かさずスケジュールでの押し合いへし合いをして
散々ご迷惑をお掛けいたしました。

さてその『烏丸響子の事件簿』、全て原作通りかと言うとそうでもありません。
1巻までは広井さんの原作に忠実に書き上げていた物の、元々オリジナルを描きたいという
僕の強い我が出たのもあり、次第に脚色も強くなっていきました。
作品自体は東京編(1~4巻)、東北編(5~7巻)、京都辺(8~10巻)と3部に分かれており、
各シリーズの全体の構想案を広井さんに考案して頂き、それに沿って自由に描かせて頂き、
毎月打ち合わせをして最終的な着地点を話し合って決めた、という感じです。
僕みたいなペーペーの未発達な作家を特に縛る事もせず、自由に描かせてくれた広井さんの
懐の深さにも感謝です。
東北編の福島が舞台の話は、今となってはもう描けないストーリーになってしまいました。

9年やって全10巻、ペースとしては通常の半分のスピードです。とても遅いです。
僕自身の経験や知識の無さ、他仕事との兼ね合いとそれに付随するスケジューリング立て方に
問題も多々ありました。それでもじっくり、僕なりの終わらせ方を迎えられる事が出来て非常に嬉しく思っております。
今後の制作にとっても、大きな経験となりました。

また、何よりこんなに長くお待たせしたにも関わらず、単行本の発売を毎年待って頂いた
読者の方々様、本当に、ありがとう御座います。
読んで下さる読者様のお陰で打ち切られる事もなく、無事お話の最後を迎える事が出来ました。
これは作家としてとても幸せであり、ありがたい事だと思っています。
単行本最終巻、近々お届け出来るかと思います。
それまで、もう少々のお付き合いをよろしくお願いいたします!

コザキ

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2 Responses

  1. 1
    kozaki 

    ★エイジさん
    ちょ~疲れました!あざまっす!!連載を終わら
    せるっていう経験って実は殆ど無かったので感慨深いっす。
    ぼくらの世代って漫画が熱いじゃないっすか。ほんとに恵まれてると思いますね…
    ちるらん♪(『ちるらん』橋本エイジ著 単行本絶賛発売中)

  2. Thanks for sharing your thoughts. I truly appreciate your efforts and I am
    waiting for your next post thank you once again.

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